カーボンマスターバッチ(CMB)とは?

 

カーボンマスターバッチ(CMB)とは?






弊社の主力商品であるカーボンマスターバッチ(以下、CMB)。一般的に聞きなじみの薄い名前ですが、CMBには多くの経験、技術が注ぎ込まれています。
そのCMBがなんであるか?をなるべくわかりやすくご紹介いたします。

カーボンマスターバッチとは?

CMBとは基材となる天然ゴムや合成ゴム(生ゴムといいます。)に硫黄、補強材、充填剤、オイル類、薬品類をミキサーやオープンロールで混ぜ合わせ、ゴム製品を製造できる状態に加工したもの、のことを言います。カーボンマスターバッチのことをゴムコンパウンド、配合ゴム、混練材料、単にバッチということもあります。
しかし、ゴムの生産になじみが薄い方はなかなかこの文章では理解が難しいと考えます。
そこで、分かりやすい例で考えると、ケーキのスポンジづくりに似ています。










スポンジケーキは型に入れ、焼くことで食べることができるようになりますが、その前工程でしっかりとした下ごしらえと材料の均質な混ぜ合わせがなければ、美味しいものは出来上がりません。
これと同じように、ゴム製品はCMBを金型に入れ、プレス機等で加圧加熱して製造しますが、その前工程であるCMBの製造がしっかりしていないと良い製品にならないことはお分かり頂けると思います。CMBはゴム製品になる前工程の中間加工品であること、そして、CMBの良し悪しが製品の良し悪しに直結することはご理解いただけると思います。

混ぜ合わせが必要な理由は?

1839年、アメリカ人のチャールズ・グッドイヤーが生ゴムと硫黄を混ぜ合わせて、加熱するとゴムの弾性が飛躍的に向上することを発見しました。ゴム産業にとって、最も重大な転換点であったこの発見時から、すでに生ゴムには何かを混ぜ合わせないと、ゴム製品として利用できないという特徴がありました。1843年にトーマス・ハンコックによって、生ゴムと硫黄の反応機構が明らかにされましたが、これによると生ゴムの分子中の多重結合部に、硫黄が接触しないと、分子鎖(この分子鎖がゴムを高弾性体にします。)を作ることができないため、生ゴムと硫黄の均質な分散が必要で、そのためによく混ぜ合わせることが重要になります。

カーボンマスターバッチとは結局なんなのか?

グッドイヤーの発見からほどなくして、ゴムの産業的利用価値は飛躍的に高まりました。産業的利用価値が高まると、ゴム製品の性能や機能にも高い要求が求められるようになっていきます。例えば、加硫時間を短くしたい、ゴムを柔らかくしたい、ゴムを固くしたい、引き裂きを強くしたい、対候性を高めたい。など様々な要求から、ゴムには様々な添加剤や薬品、オイル、補強材、軟化剤などが開発され、用いられるようになります。
CMBはゴム製品に求められる生産性、機能的特性、物理的特性などを1パッケージで実現するために生ゴムと添加物を混ぜて合わせてできた機能的ゴム中間材料と言えます。

カーボンマスターバッチ専門の精練工場がある理由

前述のスポンジケーキの話に戻りますが、ケーキ屋さんであれば、スポンジを混ぜ合わせるのも、スポンジを焼くのも自社で行うケーキ屋さんが多いのではないでしょうか?
しかし、ゴム工場の場合は異なります。
多くのゴム工場ではCMBをプレス機等で成型しゴム製品を作る「成型工場CMBそのものを作って成型工場に納入する「精練工場に大別され、分業していることが多いのです。
分業している理由はいくつかありますが、主な理由としては
  1. それぞれが分業することで、生産効率が高められること
  2. 成型工場で使用するCMBの使用量とCMB生産設備の投資対効果が合わないこと
  3. 配合設計などのノウハウが秘匿情報であることが多く、精錬工場がそのノウハウを保有しているため
上記理由に当てはまらず成型、精練ともに自社で行っていらっしゃる企業様も多くあります。
特に3の配合設計の技術的なハードルは高く、CMBに求められる物性やコストなどそれぞれ各社の工夫が大いに反映される部分でもあり、また精練工場の中でも、生産規模や得手不得手の材質があり、各社がそれぞれの特徴を活かし、経営されている点も精練工場の面白い点です。

CMBの製造工程などについては、また別の機会にご紹介していきたいと考えています。